【力学】間違いやすい物体の加速度の問題
まずこの問題をやってみてください。
制限時間は3分です。
答え、解説、解答は
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「答え」
⑴ gsinθ
⑵ gtanθ
⑴はすぐできたと思います。
でも、⑵はわからない人も多いと思います。
正解したとしても、
⑴よりけっこう時間がかかったんじゃないですか?
⑴も⑵も簡単だったという人は、
その調子で物理を勉強していけば大丈夫です。
それでは、少し解説していきます。
⑴は台を固定していますので、
物体は斜面上を滑っていきます。
ですので、
斜面上を滑る方向に加速度a₁とおきます。
ここまでは大丈夫だと思いますが、
そこでいきなり、
a₁=gsinθ とした人は危険です。
一度本当にそうなのか考えてほしいです。
物体が斜面を滑っていくのは、
重力加速度gを斜面方向に分解した、
gsinθ で滑っていくわけではないのです。
物体が滑っていくのは、
『物体が受ける重力と垂直抗力の合力』
で滑っていくのです。
ここは何度でも考えてほしいところです。
⑵が解けなかった人は、
すぐ⑴でgsinθとして、
⑵でうーんとなったはずです。
物理は立式さえしてしまえば、
あとはほとんど中学数学です。
そしてその立式は、
難しい問題も簡単な問題も基本的には変わりません。
しかし実際は、この問題のように、
できる人とできない人がわかれるのです。
『重力と垂直抗力の合力』
これが斜面に平行な方向に働くので、
それを図的に求めるのです。
もう一度言いますが、
重力加速度を分解して、
gsinθとするのは全然ダメです。
では、解答です。
⑴
加速度をa₁、垂直抗力をN₁とおく。
物体の運動方程式は、
斜面に平行な方向:
ma₁=mgsinθ
斜面に垂直な方向:
0=N₁-mgcosθ
よって、
a₁=gsinθ
⑵
加速度a₂、垂直抗力をN₂とおく。
運動方程式は、
水平方向:
ma₂=N₂sinθ
鉛直方向:
0=N₂cosθ-mg
N₂=mg/cosθ
ma₂=(mg/cosθ)sinθ
よって、
a₂=gtanθ
物理では2つか3つ式を立てれば、
だいたい解けるようになっています。
正しく力を見つけて、
運動方程式を作るのです。
⑴も⑵もやっていることは、
ニュートンの運動の3法則を理解して、
正しく使えればできるのです。
第1法則:慣性の法則
力0のとき、静止、もしくは等速度運動
第2法則:運動の法則
加速度の向き=力の向き
加速度の大きさは、力の大きさに比例し、質量に反比例
第3法則:作用反作用
A⇒Bから力を作用させると、
B⇒Aに同一直線上で大きさが等しく逆向きの力を作用させる
⑴も⑵も
互いに垂直な方向に分解して、
それぞれ立式して解くのです。
解き方自体は同じなのにできないのは、
基礎ができていないからです。
そして、基礎というのは、
決して簡単なことでも、
やさしい問題でもありません。
物理のエッセンスや、
セミナー物理などは基礎が身につかないです。
・良問の風
・名門の森
・難問題の系統とその解き方
をおすすめします。